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17/01/22(日)【外国人の在留手続の諸問題 44 ~ 小売業での外国人就労】

小売業での外国人就労について、在留資格の面から見てみたいと思います。

原則として、接客・レジ・在庫管理といった単純労働とみなされがちな仕事内容では、「技術・人文知識・国際業務」といった典型的な就労許可はまず下りません。

外国人の来客が多い地域の店舗で、外国語で接客をする外国人を雇用したい場合、

・当該外国人社員の業務の中で外国語を使う機会がどのくらいあるのか、
・それは1日の中ではどのくらいなのか、
・年間では時季によって差が出てくるのか、
・どの国籍の外国人客が多いのかなど国籍ごとの顧客データ、

等を細かく分析した文書を作成し、丁寧に入国管理局へ説明をする必要があります。

17/01/21(土)【外国人の在留手続の諸問題 43 ~ 不動産業での外国人就労】

不動産業での外国人就労について、在留資格の面から見てみたいと思います。

来日する外国人が増えるのに応じて、外国人向けに不動産の賃貸・売買の仲介をする不動産会社も増えてきています。
賃貸は留学生や外国人就労者、売買は日本に長期滞在する外国人、投資用としての高級分譲マンション等はアジア系富裕層、がターゲットとなっているようです。

このような不動産会社の営業や通訳・翻訳の担当として、外国人社員の就労資格を取ることは可能です。

原則として、外国人社員の大学・専門学校での専攻内容が、会社で従事する仕事内容に十分活かせるかどうかが許可のポイントとなります。

物件の紹介や入居手続き、契約書の作成サポートなどの仕事がメインの場合は、大学での専攻が経営・経済・法学部の場合が比較的取りやすいと思います。
外国人顧客への通訳翻訳の仕事の場合は文学部出身でも可能な場合があると思います。

17/01/20(金)【外国人の在留手続の諸問題 42 ~ 建設業での外国人就労】

建設業での外国人就労について、在留資格の面から見てみたいと思います。

建設業界の企業規模も1人親方から上場企業まで大きな幅がありますが、外国人雇用に関しては、事務系職種と建築現場作業で大きく分かれます。

事務系の仕事では、人事総務・会計・マーケティング・営業・海外拠点との通訳翻訳などで在留資格を取得することが可能です。
技術系の仕事では、設計・技術開発などで在留資格を取得することが可能です。
上記は「技術・人文知識・国際業務」という在留資格になり、大学等で学んだ専攻と関連する職務で雇用される場合に取得できます。

これに対して、建築現場での作業は単純労働とみなされますので、原則として、就労の在留資格は取得できません。

ただし、就労制限のない「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」や帰化した外国人は、建築現場での作業で雇用可能です。

17/01/19(木)【外国人の在留手続の諸問題 41 ~ 製造業での外国人就労】

製造業での外国人就労について、在留資格の面から見てみたいと思います。

製造業での外国人雇用に関しては、事務部門・技術部門か、あるいは工場などでの現場ラインか、のいずれかで大きく分かれます。

事務部門でいえば、海外拠点との通訳翻訳・人事総務・会計・マーケティング・営業などで在留資格を取得することが可能です。
技術部門でいえば、製品開発・品質管理・技術教育などで在留資格を取得することが可能です。
上記は「技術・人文知識・国際業務」という在留資格になり、大学等で学んだ専攻と関連する職務で雇用される場合に取得できます。

一方、工場での現場ラインでの作業は単純労働とみなされますので、基本的には就労の在留資格は取得できません。

現場ラインで外国人を雇用できるパターンとしては、まずは「技能実習」が挙げられます。
技能実習は海外から一定期間、実務研修という形で雇用されるもので、多くは事業協同組合を通して受け入れる形となります。


また、日系ブラジル人などの「定住者」の在留資格を持つ外国人は、就労制限がないため、工場内作業などの単純労働とみなされる仕事でも雇用が可能です。
さらに、就労制限のない「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」や、帰化した外国人も同様です。

17/01/18(水)【外国人の在留手続の諸問題 40 ~ ホテル業での外国人就労】

ホテル業での外国人就労について、在留資格の面から見てみたいと思います。

日本の外国人観光客誘致の政策に加え、東京でのオリンピックを控え、アジア各国の観光客に対する観光ビザ緩和などを背景に外国人観光客が年々増えています。
外国人観光客が増えることにより、ホテルや旅館の宿泊客としても、外国人の割合が増え続けているようです。
その結果、ホテル等で外国人スタッフを雇用したいという需要も増えています。

専門学校・大学でホテル学や観光を専攻した外国人を雇用したい場合ですが、ホテル付属のレストラン・客室清掃・ドアマンなどの職種は単純労働とみなされるので、これらの業務では在留資格は取れません。
また、規模が小さいホテルのフロント業務に関しては単純労働とみなされがちです。

フロント業務をメインとして在留資格を取得したい場合は、ホテルの規模・知名度・外国人客の多さ・外国人顧客対応の重要性等を、入国管理局へ説明することが必要となります。
就労の在留資格の許可基準というのは、あくまでも専門的な職務を遂行するためということがあるためです。

外国人宿泊客を増やすための市場調査・マーケティング企画立案・外国の旅行会社との折衝等の経営企画業務や、総務・経理などの事務系職種として外国人を雇用する場合は、外国人の大学や専門学校の専攻と関連のある職務であれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が取得できます。

17/01/17(火)【外国人の在留手続の諸問題 39 ~ 飲食業での外国人就労】

飲食業での外国人就労について、在留資格の面から見てみたいと思います。

飲食店では、中国人を筆頭に多数の外国人が働いています。
多くは留学生アルバイトであると思いますが、学校を卒業後そのまま勤務先の飲食店に就職を希望する方も多くいます。

飲食店で正社員としての在留資格を取りたい場合は、アルバイトの時と同じようなホール係・レジ・調理補助での仕事内容では許可が下りません。
また、調理師としても許可は取れません。

飲食企業への就職で就労の在留資格が取得できるのは、飲食企業の事務部門で働く場合です。
例えば、人事総務の仕事・会計の仕事・マーケティングの仕事など、事務系であれば全般的に就労の在留資格を取得することが可能です。
また店舗管理(店長)やスーパーバイザーの仕事でも取得することが可能です。

ただし、これらの事務系の職種は飲食企業としてある程度の企業規模が必要です。
1・2店舗だけの飲食店の場合に、これら事務系の仕事を専門にかかえることは客観的にみて現実性に乏しく、しかも外国人である必要性も感じられないからです。
少なくとも複数の店舗を持ち、かつ店舗とは別に事務所を構えていることが必要となります。

外国人本人としては専攻内容と職務内容に関連性があることが必要です。
ただし、就労制限のない「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」や帰化した外国人については、飲食店でどのような仕事内容に就いても問題はありません。

外国人を調理師として雇う場合は「技能」の在留資格に該当します。
この「技能」の在留資格を取得するためには、10年以上の調理師としての実務経験があることが必要です。

この10年の実務経験年数の中には、専門学校などで調理に関する科目を専攻した期間を含めることができます。
つまり、2年間調理専門学校に通っていたのであれば、それに加えて8年の実務経験があればOKということになります。

「技能」の在留資格を取るためには、熟練した技能が必要となりますので、調理補助のような内容では取得できません。
また、外国料理の調理師である必要があるので、本場の中華料理・韓国料理・タイ料理など、各国料理の調理師である必要があります。
居酒屋や日本料理店は日本料理ですので、10年の経験があっても技能の在留資格は取得できません。

17/01/16(月)【外国人の在留手続の諸問題 38 ~ IT関連企業での外国人雇用】

システム開発やソフトウェア開発・保守・顧客サポートなどを行うIT関連企業での外国人雇用について、在留資格の面から見てみたいと思います。

まず、外国人をソフトウェア等の開発業務に就かせたい場合、原則として、大学や専門学校での専攻内容と職務内容に関連性があることが必要です。
つまり、大学等で情報関連科目を取得していることが必要です。

情報関連の単位を全く取得していない文系学部出身の外国人の場合は、人文科学の分野に関する知識を必要とするソフトウェア開発に従事する場合は、在留資格を取得できる可能性があります。
例えば、会計を専攻した外国人が会計ソフトの開発を行うなどが当てはまります。

IT関連企業でバックオフィス業務・営業・マーケティングを担当する場合は、経済学部・経営学部・法学部・その他の文系学部で、職務と専攻内容に関連性があれば在留資格が取得できます。

17/01/15(日)【成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律③ ~ 死後事務関係】

成年被後見人が死亡した場合には、成年後見は当然に終了し、成年後見人は原則として法定代理権等の権限を喪失します(民法第111条第1項,第653条第1号参照)。
しかし、実務上、成年後見人は、成年被後見人の死亡後も一定の事務(死後事務)を行うことを周囲から期待され、社会通念上これを拒むことが困難な場合があるといわれています。

成年後見終了後の事務については、従前から応急処分(民法第874条において準用する第654条)等の規定が存在したものの、これにより成年後見人が行うことができる事務の範囲が必ずしも明確でなかったため、実務上、成年後見人が対応に苦慮する場合があるとの指摘がされていました。
そこで、改正法では、成年後見人は、成年被後見人の死亡後にも、個々の相続財産の保存に必要な行為、成年被後見人の生前にかかった医療費・入院費・公共料金等の支払、遺体の引取りおよび火葬・埋葬に関する契約の締結等、といった一定の範囲の事務を行うことができることとされ,その要件が明確にされました。

改正法により成年後見人が行うことができるとされた死後事務は、以下の3種類です。

①個々の相続財産の保存に必要な行為
・相続財産に属する債権について時効の完成が間近に迫っている場合に行う時効の中
 断(債務者に対する請求。民法第147条第1号)

・相続財産に属する建物に雨漏りがある場合にこれを修繕する行為
②弁済期が到来した債務の弁済
・成年被後見人の医療費・入院費・公共料金等の支払
③遺体の火葬・埋葬に関する契約の締結その他相続財産全体の保存に必要な行為
・遺体の火葬・埋葬に関する契約の締結
・成年後見人が管理していた成年被後見人所有に係る動産の寄託契約の締結(トラン
 クルームの利用契約など)

・成年被後見人の居室に関する電気・ガス・水道等供給契約の解約
・債務を弁済するための預貯金(成年被後見人名義口座)の払戻し

次に,成年後見人が上記①~③の死後事務を行うためには,
・成年後見人が当該事務を行う必要があること
・成年被後見人の相続人が相続財産を管理することができる状態に至っていないこと
・成年後見人が当該事務を行うことにつき、成年被後見人の相続人の意思に反するこ
 とが明らかな場合でないこと

という各要件を満たしている必要があります。 

また,上記③の死後事務(民法第873条の2第3号)を行う場合には、上記の要件に加えて、
・家庭裁判所の許可
も必要となります。

成年後見人は、遺骨の引取り手がいない場合には、成年後見人において遺体の火葬に関する契約に加えて、納骨堂等への納骨に関する契約を締結することが考えられます。
納骨に関する契約も「遺体の火葬・埋葬に関する契約」に準ずるものとして、家庭裁判所がその必要性等を考慮した上で、その許否を判断することになるものと考えられます。

改正法は、成年後見人に成年被後見人の葬儀を施行する権限までは与えていません。
葬儀には宗派・規模等によって様々な形態があり、その施行方法や費用負担等をめぐって、事後に成年後見人と相続人の間でトラブルが生ずるおそれがあるためです。
したがって、成年後見人が後見事務の一環として成年被後見人の葬儀を執り行うことはできません。
もっとも、成年後見人が後見事務とは別に、個人として参加者を募り、参加者から会費を徴収して無宗教のお別れ会を開くことは可能と考えられます。

17/01/14(土)【成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律② ~ 郵便転送関係】

成年被後見人宛ての郵便物等の中には、株式の配当通知・外貨預金の入出金明細・クレジットカードの利用明細といった成年被後見人の財産等に関する郵便物が含まれることが想定されます。
これらの郵便物等は、成年後見人が成年被後見人の財産状況を正確に把握し、適切な財産管理を行う上で極めて重要な役割を果たすものといえます。

しかし、例えば、成年後見人が同居の親族以外の方である場合において、成年被後見人が自分宛ての郵便物等を自ら適切に管理することが困難なときは、成年後見人が成年被後見人宛ての郵便物の存在や内容を十分に把握することができず、そのために適切な財産管理に支障を来すおそれがあるとの指摘がされていました。

そこで、このような問題を解決するために、改正法によって郵便転送の制度が新設されました。

郵便転送とは、成年後見人が後見事務を行うに当たって必要がある場合に、家庭裁判所の審判を得て、成年被後見人宛ての郵便物等を成年後見人の住所または事務所所在地に転送してもらうことをいいます。

成年後見人が郵便転送を必要とする場合には、家庭裁判所に対して「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達(転送)の嘱託の審判」を申し立て、これに基づいて家庭裁判所により転送嘱託の審判がされれば、審判確定後に家庭裁判所から日本郵便等に対して、その旨の通知がされることになります(家事事件手続法第122条第2項)。
転送嘱託の審判の申立ては、当該成年被後見人について後見開始の審判をした家庭裁判所に対して行うことになります(家事事件手続法第117条第2項)。

成年被後見人宛ての郵便物が成年後見人に転送される期間は、家庭裁判所が審判で定めますが、その期間は6か月を超えることができないとされています(民法第860条の2第2項)。

財産に関する郵便物等は、一定期間ごと(例えば1か月に1回)に郵送される場合が多く,成年後見人としては、その期間内(概ね数か月間)に郵送された郵便物等を調査することにより、成年被後見人の財産関係に関する郵便物等の存在を概ね把握することができるものと考えられます。
そこで、改正法は、転送の期間を成年後見人が成年被後見人の財産関係を把握するために必要と認められる期間(=6か月を超えない期間)に限定することで、成年被後見人の通信の秘密に配慮しています。

成年後見人は、当初の転送期間の満了後に家庭裁判所に対して再度の郵便転送を申し立てることができます。

もっとも、このような再度の申立てをする場合には、当初の転送期間のみでは成年被後見人の財産関係を十分に把握することができなかったことについてやむを得ない事由があることを示す必要があると考えられます。

成年後見人は、転送されてきた成年被後見人宛の郵便物を開いて見ることができます(民法第860条の3第1項)。

その郵便物のうち後見事務に関係がないものについては、成年後見人は速やかに成年被後見人に交付(郵送を含みます。)しなければなりません(同条第2項)。
また、成年被後見人は、成年後見人に対し、郵便転送により成年後見人が受け取った成年被後見人宛ての郵便物の閲覧を求めることができます(同条第3項)。

郵便転送の開始後に成年後見人または成年被後見人が転居した場合には、成年後見人は、郵便転送を引き続き円滑に行うために、家庭裁判所に対し、「嘱託の変更の審判」(民法第860条の2第3項)を申し立てる必要があります。

成年後見人が上記審判の申立てを怠った場合には善管注意義務違反となり、成年後見人の解任事由(民法第846条)に該当する場合があります。

[民法]

(後見人の解任)
第846条 後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があ
 るときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官
 の請求により又は職権で、これを解任することができる。


成年被後見人宛ての郵便物を成年後見人に転送することに不満がある場合には、成年被後見人及びその親族は、家庭裁判所による転送嘱託の審判に対して、即時抗告をすることができます(家事事件手続法第123条第8号)。

即時抗告の申立ては、当該成年被後見人について後見開始の審判をした家庭裁判所に対して行うことになります(家事事件手続法第87条第1項,第117条第2項)。

17/01/13(金)【成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律① ~ 改正のポイント】

「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」(平成28年法律第27号)が2016(平成28年)4月6日に成立し、同月13日に公布されました。
2016(平成28年)10月13日から施行されています。

民法改正のポイントとしては、
・成年後見人が家庭裁判所の審判を得て成年被後見人宛郵便物の転送を受けることが
 できるようになったこと(郵便転送。民法第860条の2、第860条の3)

・成年後見人が成年被後見人の死亡後にも行うことができる事務(死後事務)の内容
 及びその手続が明確化されたこと(民法第873条の2)

の2点です。

これに伴い、家事事件手続法について、上記に関する審判手続の規定を新設するなどの改正がされました。

改正法の規定は成年後見のみを対象としており、保佐・補助・任意後見・未成年後見には適用されません。

[民法]
(成年後見人による郵便物等の管理)
第860条の2 家庭裁判所は、成年後見人がその事務を行うに当たって必要があると
 認めるときは、成年後見人の請求により、信書の送達の事業を行う者に対し、期間
 を定めて、成年被後見人に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関
 する法律第2条第3項に規定する信書便物(次条において「郵便物等」という。)を
 成年後見人に配達すべき旨を嘱託することができる。
② 前項に規定する嘱託の期間は、六箇月を超えることができない。
③ 家庭裁判所は、第1項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、
 成年被後見人、成年後見人若しくは成年後見監督人の請求により又は職権で、
 同項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。ただし、その変更の
 審判においては、同項の規定による審判において定められた期間を伸長すること
 ができない。
④ 成年後見人の任務が終了したときは、家庭裁判所は、第1項に規定する嘱託を取
 り消さなければならない。

第860条の3 成年後見人は、成年被後見人に宛てた郵便物等を受け取ったときは、
 これを開いて見ることができる。

② 成年後見人は、その受け取った前項の郵便物等で成年後見人の事務に関しないも
 のは、速やかに成年被後見人に交付しなければならない。
③ 成年被後見人は、成年後見人に対し、成年後見人が受け取った第一項の郵便物等
 (前項の規定により成年被後見人に交付されたものを除く。)の閲覧を求めること
 ができる。

(成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)

第873条の2 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があると
 きは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が
 相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができ
 る。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければなら
 ない。

 一  相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
 二  相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
 三  その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行
  為(前二号に掲げる行為を除く。)

17/01/12(木)【医療介護のデータ、一元化を検討へ】

1/9に、厚生労働省が、国民の健康管理の推進に向け、これまで連携が不十分だった医療と介護のデータを一元化して健康管理の研究などに活用しようと、省内に改革推進本部を設置して、議論を始める方針を決めたというニュースがありました。

医療機関に支払われる診療報酬と介護サービスの事業者に支払われる介護報酬の情報は、審査支払機関に蓄積されていますが、相互に連携しない形で整備されてきた結果、国民の健康管理にデータを一体的に活用できないことが課題になっています。

このため、厚生労働省は、医療と介護のデータを一元化し、健康管理の研究などに活用しようと、塩崎厚生労働大臣を本部長とする「データヘルス改革推進本部」を設置して、議論を始めることになりました。

具体的には、診療報酬や介護報酬の審査支払機関のシステムを改修し、医療と介護のデータを一元化したうえで、医師や研究者に介護予防や健康増進策の研究などに活用してもらうため、患者の健康診断の内容や診察の履歴などの情報を見られるようにすることなどを検討するということです。

厚生労働省は、こうしたシステムを2020(平成32)年度から本格的に稼働させたいとしています。

17/01/11(水)【熊本県内の被災地で、高齢者の要介護認定が増加】

昨年4月発生の熊本地震で甚大な被害が出た熊本県内の被災地で、高齢者の要介護認定が増加しているというニュースがありました。

震度7に2度見舞われた益城町では昨年6月以降、初めて要介護認定される人の月別の数が倍増し、御船町・西原村・南阿蘇村も増加傾向にあります。
東日本大震災の被災地でもみられたように、避難生活で日々の生活習慣が変化し、心と体の機能低下につながったのが大きな要因と思われます。

益城町は、約3万3千人の人口の約半数が仮設住宅やみなし仮設(民間アパートなど)での避難生活を強いられました。
更新を除く新規要介護認定者数(要支援含む)は、昨年3月が34人だったのに対し、地震後の同6~10月は各月63~79人と約2倍になったということです。

自治体の担当者によると、新規認定は要支援や要介護1・2といった軽度の区分での増加が目立っています。
地震後、各地から派遣された保健師や医師が被災地に入り、介護保険サービスの利用を必要とする高齢者の掘り起こしにつながった面もあるということです。

17/01/10(火)【日本郵政が経営する徳島逓信病院が売却へ】

1/6に、日本郵政が全国で経営する逓信病院のうち、徳島逓信病院(徳島市伊賀町3)と札幌、横浜の3病院を売却する方針を固めたというニュースがありました。

4/1から、それぞれ医療法人などが経営する見通しで、徳島逓信病院の売却先は医療法人平成博愛会(同市勝占町)です。
不採算となっている病院事業の合理化が狙いです。

徳島逓信病院は内科・外科・整形外科・眼科・婦人科があり、病床は51。
1938年に診療所として同市寺島本町1に開業し、1955年に現在地に移転しました。

売却先となる医療法人平成博愛会の武久理事長によると、入院患者がいるのは20床ほど。
病院事業は毎年度多額の赤字を計上し、不採算となっています。

医師や看護師らの雇用は継続する方針です。
病院は10年ほど前に改修工事を終えており、新たな工事は予定していないということです。

武久さんが理事長を務める別の医療法人が、赤字続きだった神戸逓信病院(神戸市)の経営を立て直した実績を見込まれ、日本郵政から事業を引き継ぐよう要請されたということです。

武久理事長は「市中心部の地域医療を守るために引き受けた。しばらくは赤字覚悟で経営改善に取り組み、収支を均衡化させたい」と話しています。

17/01/09(月)【宇佐市のNPO法人に委託金不正受給の疑い】

1/4に、大分県宇佐市は、市のNPO法人「院内町活性化協議会」(昨年2月解散)が市の空き家バンク事業の委託金を不正に受け取っていたとされる問題で、協議会の元会長2人を有印私文書偽造・同行使罪と詐欺罪容疑で宇佐署に刑事告訴し、受理されました。

告訴状などによると、元会長らは2009年4月から14年12月末の間に、偽造した領収書などを使い、勤務実態のない人に賃金を支払ったように見せかけ、約100万円分を不正に受け取った疑いがあるということです。
元会長の一人は「適切な支出だった」として返還を拒否しています。

また、市は昨年8月に起こした民事訴訟の損害賠償の請求額を、当初の約526万円から、新たな不正判明分などを加えて計782万円に変更するよう大分地裁中津支部に申し立てました。
市は、協議会に支払った委託料計約2900万円のうち、計約502万円を県に既に返還していますが、新たに約142万円を返したということです。

17/01/08(日)【外国人による家事支援サービスが、来月から神奈川県で開始】

1/5の記者会見で、菅義偉官房長官は、政府の国家戦略特区で解禁された外国人による家事支援サービスについて「来月にも神奈川県において開始される」と明らかにしました。

菅長官は「家事労働の負担が軽減し、女性活躍を通じて経済成長につながる」との期待を示し「大阪、東京でも速やかに事業を開始したい」と意気込みを語りました。

17/01/07(土)【介護関連事業者の倒産が過去最多に】

民間の信用調査会社「東京商工リサーチ」が行った調査によると、2016年に倒産した介護関連の事業者は、11月末までで全国で97件でした。

年間の倒産件数としては2015年の76件を上回り、過去最多となった他、負債の総額も合わせて91億円余りに上っています。
従業員9人以下の事業所が全体の86%を占めるなど、比較的に規模の小さな事業者の倒産が目立つということです。

倒産の主な原因としては、経営不振が全体のおよそ6割を占め、事業者に支払われる介護報酬が2015年4月に全体で引き下げられたことなどが影響していると思われます。

東京商工リサーチは「介護報酬の引き下げに加え、小規模な事業者ほど人手不足が深刻で事業をやめてしまうケースもあり、倒産件数は今後も高止まりするおそれがある」と分析しています。

17/01/06(金)【建物滅失登記申請を補助するサービスに関する土地家屋調査士法の取扱いが明確に】

16/12/27に、経済産業省は、建物滅失登記申請の補助マニュアル・ツールを有償で利用者に提供することが、土地家屋調査士法第3条第1項第3号・同項第6号に規定される土地家屋調査士の事務に該当するか否か照会について、回答を行いました。

回答によると、関係省庁が検討を行った結果、照会のあった事業においては、利用者自身が建物滅失登記申請書を作成するものであり、また、事業者は利用者からの個別の相談に応じないことから、上記土地家屋調査士の事務には該当しない、ということです。

これにより、不動産登記申請を補助するサービスに関する土地家屋調査士法の適用範囲がより明確化され、新たなサービスの創出・拡大に繋がることが期待される、としています。

この回答は、産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」に基づくものです。
「グレーゾーン解消制度」は、事業に対する規制の適用の有無を、事業者が照会することができる制度です。

事業者が新事業活動を行うに先立ち、あらかじめ規制の適用の有無について、政府に照会し、事業所管大臣から規制所管大臣への確認を経て、規制の適用の有無について、回答が行われます。
本件の場合、事業所管大臣は経済産業大臣、規制所管大臣は法務大臣となります。

17/01/05(木)【荒廃農地の面積】

16/12/26に、農林水産省が、2015(平成27)年の荒廃農地の面積を発表しました。

農林水産省は、我が国の食料自給率の向上を図るためには、優良農地の確保と担い手への農地集積・集約化が重要であるとし、食料・農業・農村基本計画(平成27年3月31日閣議決定)に基づいて、荒廃農地の再生利用に向けた施策を推進しています。

施策の推進に当たっては、荒廃農地の荒廃状況、解消状況等の情報を把握することが必要不可欠であることから、「荒廃農地の発生・解消状況に関する調査要領」(19農振第2125号農林水産省農村振興局長通知)に基づき、市町村及び農業委員会の現地調査等を実施し、荒廃農地の面積等を公表することとされています。

平成27年の荒廃農地面積については、全国で約28.4万ha(推計値)となりました。

このうち、
「再生利用が可能な荒廃農地」は約12.4万ha(農用地区域では約7.2万ha)、
「再生利用が困難と見込まれる荒廃農地」は約16.0万ha(農用地区域では約5.9万
 ha)

となりました。

17/01/04(水)【有能な在日外国人に対する永住権取得の要件について、政府が緩和を検討】

16/12/25に、政府が、在日外国人の中で特に能力が高い研究者・技術者・経営者などが永住権を取得するために必要な在留期間を、現行の5年から最速で1年に短縮する方向で検討を始めた、というニュースがありました。
16年6月に閣議決定した「日本再興戦略2016」を受けた措置です。

国際的な人材獲得競争に勝ち抜くためには、大胆な取得要件の緩和が必要と判断したとみられます。
現状では対象の3分の2が中国籍ということです。
政府は今後、パブリックコメントなどで広く意見を集めて最終的に判断し、年度内の導入を目指します。

一般の外国人の場合、永住権を取得するためには日本国内に10年間住み続ける必要があります。
ただし、経済成長への貢献が期待される高度な技術や知識を持った外国人は「高度人材」として例外的に5年の在留期間で取得できます。

現行制度では、学歴・職歴・年収などを水準ごとにポイント換算し、計70ポイントに到達すれば「高度人材」として法務省が認定します。
見直し案ではこれを3年に短縮するだけでなく、80ポイントを超える特に優秀な人材の場合は1年に大幅短縮します。

法務省によると、2015(平成27)年末時点で国内に滞在する対象者は計3840人です。
国・地域別では中国籍が2497人でトップ、米国籍の204人、インド籍の177人が続いています。

政府は2020年末までに累計で1万人の外国人を高度人材に認定する方針を掲げており、今後は欧米諸国やインドなど、幅広い国・地域の優秀な人材を呼び込みたい考えです。

17/01/03(火)【相続未登記農地等の実態調査の結果】

16/12/26に、農林水産省が、2016(平成28年)度に実施した相続未登記農地等の実態調査についての結果を発表しました。

近年、農地について相続が発生しても、登記名義人が変更されず、権利関係が不明確となるケースが多くなっており、担い手への農地の集積・集約化を進める上で阻害要因となっているとの指摘があります。

農林水産省が、このような相続未登記農地等の全国の状況を把握するため、市町村にある農業委員会を通じて農地台帳にある氏名や地番と、住民基本台帳や固定資産課税台帳を照合した結果、

① 登記名義人が死亡していることが確認された農地の面積は、約47万7千ha
② 登記名義人の市町村外転出・住民票除票の不存在等により、住民基本台帳上ではそ
  の生死が確認できず、相続未登記となっているおそれのある農地の面積は、
  約45万8千ha

が存在することが確認されました。
これらを合計すると、全農地面積の約2割ということです。

また、これらの農地のうち「遊休農地」(※)の面積は、約5万4千haで、上記①②の農地の面積の約6%となっています。

(※)「遊休農地」
・現に耕作されておらず、かつ、引き続き耕作されないと見込まれる農地(農地法第
 32条第1項第1号の農地)
・利用の程度が周辺の地域の農地に比べ著しく劣っている農地(農地法第32条第1項
 第2号の農地)

農業の競争力を高めるため、農家の規模拡大が課題となっていますが、農地の権利関係が分からない場合、売買や貸し借りの手続きが進めにくく、集約化の障害となります。

このため農林水産省は、農家に対して所有者が亡くなった場合には農地の相続手続きを速やかに行うよう呼びかけるとともに、権利関係が分からない農地についても貸し借りを迅速に行えるよう、対応策を検討することにしています。

17/01/02(月)【厚生労働省が介護保険制度改革の関連法案の原案をまとめる】

16/12/25に、厚生労働省が、来年の通常国会に提出する介護保険制度改革の関連法案の原案をまとめたというニュースがありました。

政府は、65歳以上で介護サービスを受けている人のうち、一定の所得以上の人の自己負担割合を2018年(平成30年)8月に2割から3割に引き上げる一方、40歳から64歳の人が支払う介護保険料について、来年8月から収入が高くなるに連れて負担額も増える「総報酬割」に段階的に切り替える方針です。

これについて、厚生労働省がまとめた介護保険制度改革の関連法案の原案では、65歳以上で介護サービスの自己負担割合が3割に引き上げられて負担が増えるのは、サービスを受けている人の3%程度に当たるおよそ12万人の所得上位者としています。

また、原案には2017(平成29年)度末までに廃止する介護療養病床は、6年間の経過措置を設けたうえで3つの新たなタイプの施設に転換していくことや、高齢者と障害者が同じ事業所でデイサービスなどの共通のサービスを受けられるようにすることなどが盛り込まれています。

厚生労働省は、この原案を基に法案化作業を進め、今年の通常国会に介護保険制度改革の関連法案を提出する方針です。

17/01/01(日)【新年のご挨拶】

あけましておめでとうございます。

三入法務事務所は、ますます皆様のお役に立てるよう、精進してまいります。

本年も、何卒よろしくお願い申し上げます。


16/12/31(土)【老老介護に起因した妻の殺害で、夫に有罪判決】

12/21に、千葉地方裁判所は、千葉県船橋市の住宅で、認知症だった当時73歳の妻を殺害した罪に問われた80歳の夫の裁判員裁判で、懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。

被告の夫は7月、船橋市の住宅で、認知症を患っていた妻の首を絞めて殺害した罪に問われました。

判決で、千葉地裁は
「長年連れ添った夫から自宅で就寝中に突然、命を絶たれ、その驚愕や苦痛を考える
 と誠に哀れというほかない」

「明確な殺意を持った残虐な行為」
と指摘しました。


一方で、
「妻に対する責任感や将来に対する絶望感などに押し潰されてとっさに絞殺したとい
 う、いわゆる老老介護に起因した殺人事件」であり、

「被告は約8年間、ほぼ独力で被害者の介護を担い、愛情と責任感を持って世話して
 いた」として、

被告に懲役3年・執行猶予5年を言い渡しました。

16/12/30(金)【診療報酬と介護報酬の同時改定へ年明けから集中議論】

12/21に、厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が、再来年度の診療報酬と介護報酬の同時改定に向け、医療と介護の連携や医療の効率化などについて、年明けから集中的に議論を始める方針を確認した、というニュースがありました。

医療機関に支払われる診療報酬は2年ごとに、介護サービスを提供する事業者に支払われる介護報酬は3年ごとに、それぞれ見直されることになっており、再来年度の2018(平成30年)度は2つの改定が重なる、6年に1度の節目の年になります。

厚生労働省はこのうち、診療報酬の改定を議論する中医協の総会に、再来年度に向け、入院・外来・在宅に加えて、医療と介護の連携といったサービスごとの課題や薬価制度の抜本改革をはじめとした効果的・効率的な医療への対応など、4つの主な検討項目の案を示しました。

また、議論の進め方として夏ごろまでに主な論点や経緯をまとめ、秋ごろまでに具体的な方向性を定め、年末までに改定の基本方針を定めるとしています。

中医協はこの案を了承し、再来年度の同時改定に向け、年明けから集中的に議論を始める方針を確認しました。

16/12/29(木)【後見人の不正防止のための意見書案】

12/20に、内閣府の有識者委員会は、認知症や知的障害などで判断能力が十分でない人の代わりに財産管理などを行う「成年後見制度」の利用促進に向けて、意見書案を大筋で了承しました。

意見書案では、後見人による横領等の不正防止のため、後見人が預貯金を引き出す際に弁護士や司法書士らが務める「後見監督人」の押印を条件とするといった仕組みづくりを盛り込むことを求めてます。

後見人による不正は2015年に521件発生し、被害総額は約29億7千万円にのぼっています。

政府は意見書案を参考にして、来年3月に成年後見制度の利用を促進する基本計画を閣議決定する予定です。

また、地域の福祉・医療・司法の関係者が連携して、後見人や利用者を支える仕組みづくりなども求めています。

16/12/28(水)【外国人と受け入れる施設向けの介護に関する学習の手引きを作成へ】

外国人技能実習生にも将来的に介護の仕事を担ってもらうことを受けて、来日する外国人と受け入れる施設向けに、介護に関する学習の手引きが作成されることになりました。

厚生労働省によりますと、介護職員は2025年に全国で38万人不足するとされており、新たな外国人技能実習制度では将来的に実習生にも介護の仕事を担ってもらうとして、導入の時期などが検討されています。

このため、厚生労働省から委託を受けた日本介護福祉士会は、来日する外国人と受け入れる施設向けに、介護に関する学習の手引きを作成することになりました。

12/20に介護福祉士会のスタッフが、すでに経済連携協定(EPA)に基づいて外国人の介護職員を受け入れている千葉県香取市の施設でヒアリングを行いました。
この中で、インドネシア人の女性はスタッフに対して、「日本語の他に、なぜこの作業がお年寄りに必要なのかを理解することが難しく苦労する」と話しています。

学習の手引きは今回のヒアリングの結果を反映させたうえで、来年3月までに完成させるということです。
日本介護福祉士会の松下能万事務局次長は「外国人実習生の受け入れが決まった以上、日本の介護のよさを理解して介護の技能を身につけてもらえるよう支援したい」と話しています。

16/12/27(火)【預貯金を遺産分割の対象とする判例変更】

12/19の最高裁裁判所大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)の決定で、亡くなった人の預貯金を親族がどう分け合って相続するかについて、「預貯金は法定相続の割合で機械的に分配されず、話し合いなどで取り分を決められる『遺産分割』の対象となる」との判断が示され、預貯金を遺産分割の対象外としてきた判例が変更されました。

これにより、一部の相続人が生前に財産を贈与されていた場合に生じていた不平等が解消されると思われます。

これまで、2004年の判例は「預貯金は当然、法定の相続割合で分けられる」と判断しており、実務でも、全員が合意すれば預貯金を自由に分けられたものの、話し合いが決裂した場合は民法の法定相続分に従い、例えば「配偶者が5割、残りの5割を子供の数で平等に割る」というように機械的に配分されてきました。

しかし、生前に一部の子供に資金援助をしていた場合などでは相続人間に不公平が生じることなどから「預貯金を遺産分割対象にすべきだ」との声が出ていました。
また、家庭裁判所の調停などでは相続人全員が合意すれば預貯金も柔軟に切り分けており、判例との乖離(かいり)も指摘されていました。

今回の決定は「預貯金は現金のように確実かつ簡単に見積もることができ、遺産分割で調整に使える財産になる」と指摘。
「預金者の死亡で口座の契約上の地位は相続人全員で共有されており、法定相続割合では当然には分割されない」として、15人の裁判官全員一致の結論として、2004年の判例を変更しました。

問題となったのは、死亡した女性の預貯金約3800万円を巡り遺族2人が取り分を争ったケースです。
1人は約5500万円の生前贈与を受けていましたが、1・2審の決定は従来の判例に従い、法定割合の約1900万円ずつ分配するとしました。
これに対し今回の決定は、具体的な相続内容を改めて遺族同士で決めるために審理を2審の大阪高裁に差し戻しました。

今回の判例変更により、多額の生前贈与を受けたような人とそうでない人の不公平が解消される方向に向かうと思われます。

これまで、取り分があると主張する相続人から預金の払い戻し請求を受けた場合、金融機関の対応はさまざまであり、相続人全員の同意がなければ払い戻しに応じないケースも多くありました。
今後は、遺産分割が終了するまでは預金の払い戻しに応じないという扱いが一般的になると考えられます。

他方で、生活費や葬儀代など当面の資金を必要とする相続人には迅速な対応も必要となりますが、この点は法制審議会で議論が続いており、立法での手当てが求められます。

大法廷決定では、大谷剛彦裁判官ら5人が連名の補足意見で、緊急性がある場合に払い戻しが認められる「保全処分」の活用が提案されました。

法制審議会(法相の諮問機関)の相続法改正の議論では、預貯金を遺産分割の対象とした上で
・遺産分割終了前に各相続人が権利を行使できる案
・相続人全員の同意がある場合を除いて遺産分割終了までは権利を行使できない案
などが検討されています。

16/12/26(月)【相続税対象者が、基礎控除引き下げの影響で8割増】

12/15に、国税庁は、2015年1月に相続税が増税されてから初めて、申告状況を公表しました。
それによると、2015年に亡くなった約129万人のうち、財産が相続税の課税対象となったのは前年比83%増の約10万3千人でした。

課税対象となった人の割合(課税割合)は前年から3.6ポイント増え8.0%、つまり100人のうち8人が対象になった計算です。
現在の課税方式になった1958年以降で最も高い割合となりました。

課税割合は2001年以降、4%台で推移してきました。
増税までの議論では、基礎控除をバブル期前と同じ水準にすることで、課税割合は「6%台程度」になると見込まれていました。

相続税は、相続財産から基礎控除と呼ばれる非課税枠を差し引いて、超えた分が課税対象になります。
2015年1月から基礎控除が「5000万円+(1000万円×法定相続人の数)」から、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」に引き下げられ、課税対象者が広がりました。
また、最高税率は50%から55%になりました。

基礎控除は、バブル期の地価急騰による税負担緩和のために引き上げられてきましたが、その後、地価が下落しても据え置かれていたため、課税割合が低下しました。
基礎控除の引き下げは、富の再分配機能を回復させる狙いがあります。

基礎控除の引き下げの影響に加え、路線価の上昇や株高による財産価格の上昇なども課税対象者の増加の背景にあるとみられます。

対象となった財産の総額は約14兆5554億円(26.8%増)で、相続税額は約1兆8116億円(30.3%増)。
対象者・総額が増えた一方で、1件当たりの平均でみると、財産は1億4126万円(30.8%減)、相続税額は1758万円(28.9%減)でともに前年より減りました。

相続財産の内訳は土地が38.0%(金額ベース)で最も多く、現金・預金などが30.7%、有価証券が14.9%で続きました。

16/12/25(日)【不法就労幇助容疑のガーナ人を逮捕】

12/15に、警視庁組織犯罪対策1課は、虚偽の雇用契約書でネパール人留学生の不法就労を手助けしたとして、ガーナ国籍のイベント企画会社(千葉県山武市)代表、アツウア・エリック・ジュウモア容疑者(35)を入管難民法違反(資格外活動幇助)容疑で逮捕しました。

逮捕容疑は昨年10~11月、同社がネパール人留学生の男性を雇用したとする虚偽の雇用契約書を作り、東京入国管理局に提出させて「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得させたというものです。
ネパール人の男は実際にはコンビニや飲食店で勤務していました。

同容疑者は仲介役から留学生の紹介を受け、1人あたり50万円の報酬を得ていました。
同様の手口で少なくとも24人から計1000万円以上の報酬を受け取っていたとみられ、調べに対し「ネパール人はよく働くし、賃金も安くすむ」などと話しているということです。

16/12/24(土)【養育費の支払いが難しい場合、減額は可能か?】

養育費は、子供の年齢を基準として一定の金額を取り決めることが一般的です。
例えば「子供が20歳になるまで毎月4万円を支払う」といった合意です。

ただし、一度決定した養育費の額でも、絶対に減額できないわけではありません。
事情の変更がある場合には、金額の変更が可能です。

例えば、給料が減り養育費の支払いが難しくなったというような場合は典型的な事情の変更にあたります。

養育費の金額は両親の収入状況を基礎として算定されるため、収入の変化は金額変更の理由となるのは当然といえます。
ただし、養育費を受け取る親の減収により、逆に養育費の増額が認められる場合もあるので注意が必要です。

その他にも、養育費を受け取っていた親が再婚し、それに伴って子が再婚相手と養子縁組した場合は、養育費の減額ないし支払い免除が認められます。
これは、養子縁組によって再婚相手が子を一次的に扶養すべき立場になるからです。
ただし、実親にも二次的な扶養義務は残ります。

養育費の金額変更の理由となる事情には、いろいろなケースがあり得ます。
一度決めたからといって無理な支払いを続けるのではなく、必要な手続きをとることをお勧めします。

養育費の金額の変更は、当事者間の合意で可能ですが、話し合いがまとまらない場合には、裁判所での調停・審判手続を経て変更することになります。

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